直接音と間接音

直接音と間接音。耳慣れない言葉ではあるが、人が日常耳にする音はすべて直接音と間接音に分類される。直接音とは、スピーカーなどから遮蔽物などの影響を受けることなくまっすぐ耳に届く音。一方間接音とは、天井や壁などに反射したあと耳へと届く音のこと。当然「直接音=ソース本来の音の情報」であるため、オーディオシステムにおいては直接音がメインとなる。とはいえ実際にはスピーカーとリスナーとの間には天井や床、壁などの物質が存在し、スピーカーを出た音は物質に反射した後鼓膜へと届くため、直接音だけを選んで聞くことはできない。人は無意識のうちに直接音と間接音をミックスし、「音」として認識している。適度な比率でミックスされた際は心地よい音と感じ、バランスが悪いと違和感を感じる。 直接音と間接音 指向性が決めるスピーカーの取付位置 ではカーオーディオという環境下において音はどのように聴こえてくるのだろうか。一般にフロントスピーカーはドアの下部に装着されるため、シートに着座するリスナーの耳とスピーカーの間には位置的なズレが生じている。特に高音の指向性は強く、正面から30度ズレただけでも音の大きさが小さくなり、ソース本来の音圧で音楽を聴くことができず、バランスの崩れたサウンドとなってしまう。そこでドアへ装着されるコアキシャルスピーカーについてはツイータの音圧をあらかじめ高めに設定している。セパレートタイプでは耳との位置的なズレが少ないAピラー部分にツイータを埋め込むなどの対策が取られている。また、反射波に着目しツイーターの向きをフロントガラスに向け、反射音だけを聴かせる手法もある。一方、低域は指向性が少なく、取付位置や角度を選ばないため、サブウーファーがトランクやシートの下などに配置されたりする。 直接音と間接音 音の反射率は音の高低や反射する素材で変わる。 さて、スピーカーから出力された音は壁や天井にぶつかり(入射)、反射を繰り返しながら一定量ずつの音を壁や天井に吸収(吸音)され、繰り返すほどに音は小さくなっていく。音とは振動エネルギーであるから、壁や天井に吸収された振動エネルギーはそこで共振をおこし、熱エネルギーに変換されて再び空中へと放出される。また、壁や天井に吸収された音の一部は透過音として通り越していく。
こうした音のメカニズムは、高音と低音でも様相が異なる。高音は固いものに当たると反射しやすいため、ガラスや天井、ドアのプラスチックなどに対しての反射率は高く、間接音が多くなり、シートやフロアカーペットなど柔らかい素材には吸音され、間接音は少なくなる。一方、低音は波長が長いため、反射率は下がり障壁を容易く透過する。そのため車外では低音だけが聴こえてくることになる。サウンドシステムの設計時においては、そうした音の特性を考慮することが必要である。
直接音と間接音

直接音と間接音