アナログアンプとは

永年にわたり音質においてデジタルアンプを凌駕して来たアナログアンプであるが、近年の半導体技術の発達により、CDなどデジタル音源との相性のいいデジタルアンプへの評価は年々高まっている。また、ハイブリッドカーをはじめとするエコカーが躍進し、電力消費を抑える観点から省電力なデジタルアンプが脚光を浴びている。一方アナログアンプの小型化も進んでおり、アナログならではの音質の良さで巻き返しを図る。 ぜいたくでムダが多いが音に深みのあるアナログアンプ アナログアンプにおいて音楽信号の増幅を行うのはトランジスタで、かつては真空管がその役割を担った。真空管やトランジスタなどの増幅素子は、入出力の関係が常に比例関係にあるわけではなく、入力信号がある一定の範囲にあるときのみリニアな増幅結果が得られ、その範囲を外れると出力信号が歪む特性があるため、入力信号に対し一定のバイアス値と呼ばれる電圧を加えることで、素子特有の適切な動作範囲に収まるよう働きかける必要がある。前述のA級、B級、C級といった分類は、このバイアス値の量によって決まるものである。 アナログアンプとは なかでも古典的とも言えるA級アンプは、増幅素子の入出力が比例する直線部分に動作点を設け、入力信号に対し絶え間なくバイアスを与えることで入力と相似の出力を得るもので、交流信号の上下(+と-)を1本のトランジスタで動作させる「シングル」と呼ばれる方式をとる。信号のつなぎ目が滑らかであることから、一般にトータルバランスに優れた音色が特長である。しかし音楽を鳴らしていないときでも常に一定のアイドリング電力を供給しなければならないため、電源効率が50%程度と低く、その分発熱量が多い。つまり電力の半分しかスピーカーを鳴らすために使わず、あとの半分を熱として空中へ放出するという無駄の多いシステムと言える。特に入力信号のレベルが小さいときほど熱に変換される損失分が増えるため、無音状態で最も熱くなる。 A級アンプの効率の悪さを改善するために開発されたB級アンプは、増幅特性の曲線が終わりきらないところに動作点を設け、バイアスやアイドリング電流を限りなくゼロに近づける方式をとる。また、飽和状態になるまで余裕があるため高出力が得やすく、電源効率もよい。ただしプラス側とマイナス側で2個のトランジスタを分業させるプッシュプル回路により、プラス側のトランジスタが動作している時マイナス側は休止するという動作を繰り返す際、プッシュプル(P-P)回路の上下のトランジスタが切り替わるあたりでバイアスがほとんどなくなり、息継ぎ的に応答性が落ちて動作のタイミングにずれが生じる。これが「クロスオーバー歪み」と呼ばれるもので、第二次第三次高調波と呼ばれる耳障りなノイズの発生原因となる。 電源効率に劣るA級と音質において妥協を強いられるB級の双方の問題点を払拭するため、B級よりもクロスオーバー歪みが出にくい直線寄りに動作点をおいたものがAB級と呼ばれるアンプで、その名の通りA級とB級のいいとこ取りを実現した方式。2つのトランジスタが分業で増幅を行う流れはB級と同じであるが、待機状態でも若干のアイドリング電流を流すことで信号の上半分と下半分の一部を交差させ、つなぎ目部分を足し合せることでクロスオーバー歪みの元となるズレを抑える。アイドリング電流を流すため一定の電力は必要とするが、発熱量はA級に比べごく僅かに留まり、B級に特有なズレもほとんど生じないため、今ではアナログアンプの主流となっている。

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